ケース対策例★★☆_コンビニエンスストアの売上推計と25%増加策

ケース/フェルミ対策

中途でのコンサル転職を目指す方にとって、ケース面接での差別化は必須です。特に「売上増加」というテーマは頻出ですが、その解き方に深みを持たせられるかがポイントです。今回はコンビニエンスストアの売上を25%増加させる方法について、戦略コンサルタントならではの視点で徹底解説します。

私が実際のプロジェクトで経験した「コンビニ売上改善」の知見も交えながら、面接官を唸らせる回答の組み立て方をご紹介します。単なる「定石」ではなく、実務でも使える思考プロセスを身につけましょう。

1. ケース面接出題の真意を理解する

コンサルファームの中途採用面接では、「講義を聞いたかどうか」ではなく、「実務で成果を出せるか」が問われます。特にコンビニエンスストアのケースが出される理由は以下にあります。

出題意図 評価ポイント 求められる思考
馴染みのある業態での思考力確認 身近な事例での深掘り能力 表面的な理解を超えた本質把握
数値感覚のチェック 妥当な推計と感度分析 現実的な数字での議論展開
業界構造理解 業界特有の制約条件の認識 実行可能性を踏まえた提案
クライアント視点の理解 オーナー/本部の立場の使い分け 複数のステークホルダーを考慮

現役コンサルタントの視点:新卒と違い、中途採用では「知識の横展開力」が重視されます。自身の業界経験とコンビニ業界の特性を掛け合わせる視点を示せると高評価につながりますよ。私の場合は、メーカー出身だったので「製造業の需給管理手法をコンビニに応用する」という切り口で差別化できました。

2. 問題設定と前提条件の明確化

まずは、問題の前提条件を整理しましょう。面接官から明示されていない場合も、自ら仮定を置き、「この条件で進めます」と宣言することが大切です。

今回のケースの前提条件(仮定):

  • 全国に15,000店舗を展開する大手コンビニチェーン
  • 1店舗あたり日商65万円程度(業界平均値)
  • 営業時間は24時間365日
  • 商品カテゴリ:食品・飲料・日用品・サービス等
  • 客層は地域住民・サラリーマン・学生など多様
  • 目標:今後12か月で売上25%増加

3. 売上構造の因数分解と推計

コンビニの売上構造を理解するため、まずは全体像を把握しましょう。年間売上を推計し、その構成要素を分解します。

項目 算出根拠
店舗数 15,000店 大手チェーン想定
日商(1店舗あたり) 65万円 業界平均値
営業日数 365日 年中無休
年間売上 約3兆5,600億円 = 15,000店 × 65万円 × 365日

さらに、売上構造を「誰が・何を・どれだけ買うか」という観点で因数分解します。

要素 現状値(推計) 増加余地
来店客数/日・店 約800人
平均客単価 約800円
来店頻度(同一客) 週2-3回
商品カテゴリ構成比 食品40%、飲料25%、日用品20%、サービス15% 高(カテゴリによる)
時間帯別売上分布 朝20%、昼25%、夕30%、夜25% 高(時間帯による)

コンビニ商品カテゴリ別売上構成比

食品 40%

 

飲料 25%

 

日用品 20%

 

サービス 15%

時間帯別売上分布

朝 20%

 

昼 25%

 

夕 30%

 

夜 25%

4. 現状分析と課題の特定

コンビニ業界の現状分析を行い、売上増加の障壁となっている課題を特定します。以下は業界の構造的課題です。

課題領域 現状 影響度
市場成熟 出店競争の激化、店舗数の飽和
競合環境 ドラッグストア・スーパーとの価格競争
消費者行動 EC・宅配サービスの普及
人手不足 店舗運営コストの増加
商品開発 差別化の難しさ、PB商品の伸び悩み

これらの現状を踏まえ、売上構造の因数に対して、どのようなインパクトがあるかを分析します。

中途採用者ならではの視点:私の場合、メーカー勤務時に「ドラッグストアVSコンビニ」の棚争奪戦を経験していました。その経験から、コンビニは「利便性」だけでなく「独自性」での差別化が必要だと気づきました。単に「客数×客単価」の掛け算だけでなく、「顧客が求める価値」から逆算する発想が重要です。

5. 売上25%増加に向けた重点施策

売上構造の中で、最もインパクトが大きい因数を特定し、それに対する施策を考えます。ここでは、「客単価向上」と「新規顧客獲得」に絞り、3つの重点施策を提案します。

施策①:デジタルとリアルを融合したOMO戦略

インパクト想定:売上+12%

スマートフォンアプリとリアル店舗を連携させるOMO(Online Merges with Offline)戦略を展開。具体的には:

  • アプリ会員限定の時間帯別クーポン配信(朝型・昼型・夜型の行動パターンに合わせた最適化)
  • 店舗在庫リアルタイム表示と事前注文機能(特に人気商品の品切れ防止)
  • 来店ついでのEC商品受取サービス(アマゾンロッカーのような機能)
  • 位置情報と連動した来店促進プッシュ通知

実現のポイント:既存の会員アプリをアップデートするだけでなく、店舗スタッフの運用負荷を最小化する仕組みづくりが重要。特に、在庫連動システムは本部主導で自動化が必須。

アプリ施策 顧客体験 想定効果
来店予測AI 「いつもの商品」がレジ横に準備されている 客単価+10%
時間帯別クーポン 朝はコーヒー半額、昼は弁当割引など 来店頻度+15%
EC連携 ネット注文した商品を24時間受け取れる 新規顧客+8%

施策②:「第三の食事」としての新カテゴリ創出

インパクト想定:売上+8%

朝昼晩の3食に加え、「夜食」「間食」「補食」などの新たな食事機会を創出。特に:

  • 高タンパク・低糖質の健康志向スナック(プロテインバー、ナッツ類など)
  • 「ちょい飲み」需要を取り込む家飲みセット(おつまみ+チューハイなど)
  • 在宅ワーク向けの「小腹満たし」商品ライン(カロリーコントロール型)
  • 地域特産品を活かした限定商品の定期展開

実現のポイント:商品開発サイクルの短縮化と、顧客データに基づく仮説検証の高速化。特に、アプリユーザーからのフィードバックを取り入れる「クラウドソースド商品開発」の仕組みづくり。

新カテゴリによる売上増加予測

既存カテゴリ 40%

 

健康志向スナック 25%

 

家飲みセット 20%

 

地域特産品 15%

施策③:店舗特性に応じた「ハブ&スポーク」型店舗戦略

インパクト想定:売上+5%

全店均一のサービス提供から脱却し、立地特性に応じた店舗モデルを展開:

  • 「ハブ型店舗」(大型・複合機能):イートインスペース拡大、調理機能強化、宅配拠点化
  • 「スポーク型店舗」(小型・特化型):狭小立地でも出店可能な省人化店舗
  • 「モバイル型」:イベント・災害時に機動展開できるキッチンカー型店舗

実現のポイント:立地分析に基づく店舗タイプの最適配置。特に、商圏人口密度や周辺施設との相乗効果を考慮したモデル構築が重要。

店舗タイプ 特徴 想定売上増
ハブ型(大型) イートイン、調理機能、宅配拠点 +15%/店
スポーク型(小型) 狭小立地、省人化、基本機能特化 +3%/店
モバイル型 イベント出店、災害対応 +1%全体

6. 売上シミュレーションと効果検証

提案した3つの重点施策による売上増加効果をシミュレーションします。ここでは、重複効果を考慮した現実的な数値を示します。

施策 独立効果 調整後効果 実施時期
①OMO戦略 +12% +10% 即時〜3か月
②新カテゴリ創出 +8% +7% 3〜6か月
③ハブ&スポーク戦略 +5% +8% 6〜12か月
合計 +25% +25% 12か月

施策別・月次売上増加予測

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

OMO戦略

新カテゴリ

店舗戦略

7. ケース面接での回答例(中途採用者向け)

面接時のポイント

  • 業界構造への深い理解を示す:「コンビニ業界は店舗数増による成長が限界に達しており、既存店舗からの収益性向上が鍵です」
  • 定量分析と定性分析のバランス:「年間3.5兆円の売上構造を分解すると、客単価向上の余地が最も大きいことがわかります」
  • 自分の経験との接続:「前職のメーカーでは、デジタルマーケティングによって購買頻度が15%向上した実績があり…」
  • 施策の優先順位付け:「初期投資とリターンのバランスから、第一フェーズではOMO戦略に注力し…」

業界特有の深掘りポイント:中途採用面接では、「なぜそう考えたか」の思考プロセスが重視されます。例えば「コンビニの粗利率はカテゴリによって15%〜50%と大きく異なるため、単純な売上増だけでなく、粗利ミックスの最適化も視野に入れています」など、業界特有の事情を踏まえた発言ができると差別化になります。

8. 面接官からの追加質問への対応

ケース面接では、提案した施策に対して「でも〜」という反論が必ず来ます。これは論理的思考力と瞬発力を見るためのものです。

想定質問 回答ポイント
「アプリ導入には高齢者の抵抗があるのでは?」 「確かにその通りです。そこで、アプリと連動するが物理的なポイントカードも併用し、世代間格差を埋める工夫を施します」
「新カテゴリは競合他社にすぐ真似されるのでは?」 「その懸念は重要です。そこで地域特産品を活用した独自性と、データ分析による迅速な商品サイクルで差別化します」
「ハブ&スポーク戦略は初期投資が大きいのでは?」 「その点は課題です。そこで既存店の改装サイクルに合わせた段階的導入と、成功店モデル確立後の横展開を提案します」

反論対応の基本形:「その懸念は重要です。実際に〜という課題がありますが、〜という対応で解決できると考えています」

9. まとめ:中途コンサル転職者が差をつける視点

コンビニエンスストアの売上25%増加を実現するためには、単なる「客数×客単価」の掛け算を超えた戦略的視点が必要です。特に中途採用では、以下の3点が差別化ポイントとなります:

  1. 構造的理解と数値感覚:売上3.5兆円の因数分解から、インパクトの大きいレバレッジポイントを特定
  2. 実行可能性を踏まえた優先順位付け:初期投資・実現時期・効果を加味した現実的なロードマップ
  3. 自身の経験との接続:前職で培った知見やスキルをコンビニ業界に転用する具体例の提示

このケース対策で学んだアプローチは、様々な業界の収益改善問題に応用できます。市場が成熟しつつある日本において、「量的拡大」から「質的向上」へのシフトを促す戦略思考は、今後ますます重要性を増すでしょう。

 

最後に。コンサル転職時の年収相場(キャリア別)

キャリア層 MBA・名門大出身 大手企業経験者 その他バックグラウンド
20代 600〜1,000万円 600〜900万円 550〜800万円
30代 1,000〜1,800万円 900〜1,600万円 800〜1,400万円
40代以上 1,800万円〜 1,400〜2,000万円 1,200〜1,800万円

※大手コンサルファームの相場です。スキルや実績により上記以上になることも珍しくありません

どんなバックグラウンドからでもコンサル転職は可能

驚くべきことに、コンサルティング業界には多様なバックグラウンドの人材が活躍しています。「一般的な大学出身」「異業種からの転職」「未経験」からでも、コンサルタントになれるチャンスがあります。

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