ケース対策例★★☆_オンライン英会話サービスの売上推計と50%成長計画

ケース/フェルミ対策

中途でコンサルへの転職を目指している方にとって、ケース面接の対策は避けて通れません。今回は特にオンライン英会話サービスの売上を50%増加させる方法について、実際の戦略コンサルタントがどのように考えるかを示します。単なる表面的な解説ではなく、現役コンサルタントが実践している思考法や推計アプローチを共有します。

この記事でわかること:

  • オンライン英会話サービスの売上構造と収益推計方法
  • 経営課題を因数分解して本質的な打ち手を見つけるアプローチ
  • インパクトの大きい少数の施策で50%成長を達成する具体策
  • 中途転職者が面接官に評価される思考プロセスと回答方法

1. オンライン英会話サービスのケース面接:出題ポイントを理解する

まず、コンサル面接でこのようなケースが出題される理由を考えてみましょう。オンライン英会話サービスは、デジタルビジネスであり、サブスクリプションモデルを採用していることが多く、また教育産業という側面もあります。面接官はこれらの要素について、あなたがビジネスの本質をどれだけ理解しているかを見ています。

特に中途採用では、「ビジネスモデルを正確に因数分解できるか」「数字に基づいた論理的な推論ができるか」「実行可能性の高い施策を提案できるか」の3点が厳しく問われます。

よくある間違い:多くの候補者は「多数の小さな施策を積み上げる」アプローチをとりがちですが、これは実際のコンサルプロジェクトでは効果的ではありません。現場の実行力には限りがあるため、インパクトの大きい2〜3の重点施策に絞り込むことが重要です。

2. ケースの前提条件と売上構造の理解

まずは、オンライン英会話サービスの基本的な前提条件を整理します。面接官から明示されていない場合は、自ら仮定を置いて進めることも必要です(その際は必ず仮定を明示しましょう)。

項目 前提条件 補足
サービス形態 月額制サブスクリプション 一般的なオンライン英会話のビジネスモデル
ターゲット層 20〜40代のビジネスパーソン 英語学習ニーズが高い層
講師 フィリピン人中心 コスト効率の高い非ネイティブ講師
平均単価 月額6,000円 業界平均から推定
会員数 約5万人 推定値(後述の計算で使用)
レッスン形態 1回25分のマンツーマン 月8回プランが標準

売上構造の因数分解

オンライン英会話サービスの売上構造は以下のように因数分解できます:

売上 = 会員数 × 平均月額単価 × 平均継続月数

※ サブスクリプションビジネスでは「継続率」もしくは「解約率」が重要なKPIとなります

これをさらに細かく分解すると:

売上構造の詳細因数分解
会員数 = 新規獲得会員数 – 解約会員数 会員基盤を拡大するには両方の改善が必要
新規獲得会員数 = 集客数 × CVR(コンバージョン率) マーケティング効率を示す指標
平均月額単価 = 基本料金 + オプション売上 アップセルの余地を探る
平均継続月数 = 1 ÷ 月次解約率 解約率1%減で継続月数が大幅増加

3. 現状の売上推計:トップダウンアプローチ

次に、オンライン英会話サービスの現状売上を推計します。ここでは仮説と数字を組み合わせたトップダウン推計を行います。これは中途採用では特に評価される重要なスキルです。

コンサル思考のポイント:正確な数字がわからない場合でも、業界知識や常識的な数値から推計して話を前に進めることが重要です。また、計算過程を明示することで、面接官があなたの思考プロセスを評価できるようにしましょう。

現状の売上推計を行います:

項目 数値 計算根拠・補足
会員数 50,000人 中規模〜大規模サービスと仮定
平均月額単価 6,000円 業界平均から推定
月間売上 3億円 = 50,000人 × 6,000円
年間売上 36億円 = 3億円 × 12ヶ月
平均継続期間 8ヶ月 月間解約率12.5%と仮定
年間新規獲得会員数 約75,000人 継続率と会員数から逆算

この推計から、50%の売上成長を達成するには年間18億円の売上増加が必要です。単純計算では、「会員数を50%増やす」「単価を50%上げる」「継続率を大幅に改善する」のいずれか、あるいはこれらの組み合わせが必要となります。

4. 現状の課題分析:成長阻害要因の特定

オンライン英会話サービスの成長を阻害している要因を分析します。業界知見から導き出した主な課題は以下の通りです:

課題領域 具体的課題 インパクト
継続率の低さ 「効果が実感できない」「習慣化しない」ために解約 非常に大きい
客単価の頭打ち 価格競争による単価下落圧力 非常に大きい
新規獲得コストの上昇 競合増加による集客効率の悪化 中程度
サービス差別化の困難さ レッスン内容の均質化 中程度
講師の質のばらつき 講師採用・育成の難しさ 小さい

この分析から、継続率の向上客単価の引き上げにフォーカスすべきことが見えてきます。特に継続率については、サブスクリプションビジネスの要となるKPIであり、わずかな改善でもLTV(顧客生涯価値)に大きな影響を与えます。

5. 50%成長に向けた重点施策

前述の分析をもとに、インパクトが最も大きい施策を厳選します。ここでは「多くの小さな施策」ではなく、本質的な課題に対する少数の高インパクト施策を提案します。

①「英語学習習慣化プログラム」の導入 【継続率改善】

施策概要:多くのユーザーがレッスンを継続できない主因は「学習習慣の未定着」です。そこで、行動科学の知見を活用し、ユーザーの学習習慣を定着させるプログラムを導入します。

  • AIを活用した個別学習計画の自動作成
  • 毎日5分の「ミニレッスン」で習慣化を促進
  • ゲーミフィケーション要素による継続動機付け
  • チャットボットによる定期的な学習リマインド

効果予測:月間解約率を12.5%→8%に改善(平均継続期間:8ヶ月→12.5ヶ月)

②「ビジネスEnglish Pro」プランの新設 【単価向上】

施策概要:現在の均一料金モデルを見直し、ビジネスパーソン向けの高付加価値プランを新設します。一般的な英会話ではなく、キャリア発展に直結する英語スキルに特化したプレミアムサービスとします。

  • 業界特化型レッスン(IT/金融/コンサル/マーケティング等)
  • ネイティブ講師によるビジネス英語添削サービス
  • 月1回の英語プレゼンテーション練習セッション
  • AI発音分析ツールによる発音改善プログラム

料金設定:月額15,000円(既存一般プランの2.5倍)

効果予測:会員の20%が移行し、全体の平均単価が7,800円に上昇(30%向上)

③「友達紹介キャンペーン2.0」【新規会員獲得】

施策概要:既存の紹介プログラムを大幅に刷新し、ユーザー同士の「学習パートナー制度」と組み合わせることで、紹介効率と入会後の継続率を同時に向上させます。

  • 紹介者・被紹介者双方に3ヶ月30%割引特典
  • 学習パートナーマッチングで共に学習を継続
  • パートナーとの継続でボーナスレッスン付与
  • 企業単位での団体紹介プログラム

効果予測:紹介による新規獲得が現状の2倍に増加し、かつ紹介入会者の継続率が50%向上

6. 施策実行後の売上推計と50%成長実現性

上記3つの重点施策を実行した場合の売上推計を行います。

項目 現状 施策後 変化率
会員数 50,000人 65,000人 +30%
平均月額単価 6,000円 7,800円 +30%
月間売上 3億円 5.07億円 +69%
年間売上 36億円 60.84億円 +69%
継続期間 8ヶ月 12.5ヶ月 +56%

上記の推計によれば、3つの重点施策により年間売上は36億円→60.84億円となり、目標の50%成長を大きく上回る69%成長が実現できる見込みです。

成功の鍵:単に「会員数を増やす」という表面的なアプローチではなく、サブスクリプションビジネスの核心である「継続率」と「単価」に着目したことで、より実現可能性の高い成長計画が策定できました。特に継続率の向上は、新規獲得コストを抑えながら会員基盤と売上を拡大できる点で、最もレバレッジの効く施策といえます。

7. ケース面接での回答例

最後に、このケースを実際の面接で問われた場合の模範回答例を示します。特に中途採用では、「どのように考えたか」というプロセスが重視されます。

「まず、オンライン英会話サービスの売上構造を理解するため、会員数、平均単価、継続率という3つの因子に分解しました。現状を推計すると、会員5万人、月額6,000円で、年間売上36億円と見込まれます。

課題分析の結果、特に継続率の低さと単価の頭打ちがボトルネックになっていることが判明しました。そこで、まず英語学習の習慣化を促進するプログラムを導入し、月間解約率を12.5%から8%へ改善します。次に、ビジネス特化型の高単価プラン「ビジネスEnglish Pro」を新設し、平均単価を30%向上させます。さらに、友達紹介プログラムを刷新して新規会員獲得も強化します。

これら3つの施策により、会員数は30%増、単価は30%増となり、年間売上は36億円から60.84億円へと69%成長する見込みです。特にLTVへの影響が大きい継続率改善に注力したことで、効率的な成長が実現できると考えます。」

8. 中途転職者が差をつけるポイント

最後に、中途転職者がコンサル面接で差をつけるためのポイントをまとめます:

  1. 業界特有の構造を理解する:サブスクリプションビジネスではKPIが独特であり、特に継続率が重要であることを押さえる
  2. 数値に基づく推論:厳密な数字がなくても、論理的な推計プロセスを示すことで思考力をアピール
  3. 因果関係の理解:表面的な現象ではなく、根本原因を探り当てる洞察力を示す
  4. 実行可能性への配慮:「全てを一度に変える」ような非現実的な提案ではなく、優先順位付けされた実行可能な施策を提示
  5. 独自の知見を盛り込む:一般的な回答にとどまらず、業界経験や専門知識に基づく独自の視点を加える

※ 本記事は、コンサルティングファームの選考プロセスを理解するための参考情報であり、実際の面接では出題内容や評価基準が異なる場合があります。各ファームの特性や文化に合わせた準備が重要です。

 

最後に。コンサル転職時の年収相場(キャリア別)

キャリア層 MBA・名門大出身 大手企業経験者 その他バックグラウンド
20代 600〜1,000万円 600〜900万円 550〜800万円
30代 1,000〜1,800万円 900〜1,600万円 800〜1,400万円
40代以上 1,800万円〜 1,400〜2,000万円 1,200〜1,800万円

※大手コンサルファームの相場です。スキルや実績により上記以上になることも珍しくありません

どんなバックグラウンドからでもコンサル転職は可能

驚くべきことに、コンサルティング業界には多様なバックグラウンドの人材が活躍しています。「一般的な大学出身」「異業種からの転職」「未経験」からでも、コンサルタントになれるチャンスがあります。

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