「IT業界に興味はあるけれど、未経験でコンサルタントになれるのだろうか…」
このような悩みを抱えている方は少なくありません。実際、私のもとにも日々こうした相談が寄せられています。
結論からいうと、IT未経験でもコンサルタントへの転職は可能です。ただし、それなりの準備と戦略が必要です。
本記事でわかること
- IT未経験からコンサルへの転職は実際に可能なのか
- IT系コンサルの種類と求められるスキル
- 未経験者がコンサルに転職するための具体的な戦略
- IT系コンサルへの転職に強いエージェントの選び方
- 面接突破のためのポイントと準備すべきこと
そもそもIT系コンサルとは?種類と役割を理解しよう
IT系コンサルタントと一口に言っても、実は様々な種類があります。まずはその違いを理解しましょう。
種類 | 主な業務 | 未経験からの難易度 |
---|---|---|
戦略系ITコンサル | IT戦略立案、DX推進戦略、デジタル投資判断など | ★★★★★ |
PMOコンサル | システム導入プロジェクトの管理・推進 | ★★★☆☆ |
業務系コンサル | 業務改革、業務設計、要件定義など | ★★★☆☆ |
ITアーキテクト | システム設計、技術選定など | ★★★★★ |
SAP/ERPコンサル | ERPパッケージの導入・活用支援 | ★★☆☆☆ |
未経験からの難易度が比較的低い「PMOコンサル」「業務系コンサル」「SAP/ERPコンサル」が、転職の第一歩として狙い目です。
リアルな実態:IT未経験者のコンサル転職は成功するのか?
私が支援してきた200名以上のIT系コンサル転職者のうち、約30%はIT未経験からの転職組でした。その成功率は業界の種類によって大きく異なります。
IT未経験からの転職成功率(当社データ)
- PMOコンサル:約45%
- 業務系コンサル:約40%
- SAP/ERPコンサル:約60%
- 戦略系ITコンサル:約15%
- ITアーキテクト:約5%
特に注目すべきは、SAP/ERPコンサルティングにおける未経験者の高い成功率です。これは、SAP導入が活発化している現在の市場状況と、経理や人事などの業務知識があれば活かせる領域だからです。
実際、私が支援した元経理担当者がSAPのFI(財務会計)コンサルタントへ転身し、年収を120万円アップさせた事例もあります。業務知識と掛け合わせることで、技術的なハードルを下げることができるのです。
IT未経験でもコンサルに転職できる3つの条件
IT未経験からコンサルへの転職が成功するケースには、共通点があります。
条件1:活かせる「業務知識」や「経験」がある
経理、人事、生産管理、営業など、特定業務の知識や経験があると、その領域のITコンサルとして重宝されます。たとえば、製造業の生産管理経験者が生産管理システムのコンサルタントになるケースがよくあります。
条件2:論理的思考力やコミュニケーション力がある
IT以前に、問題発見・解決能力や、顧客との折衝能力が求められます。プレゼンテーション経験や企画書作成経験があれば強みになります。私の経験上、元営業職でコミュニケーション力に優れた方の成功率は平均より15%高いです。
条件3:IT知識の習得に意欲的である
未経験でも、基本的なIT知識を自主的に勉強する姿勢は必須です。最低限、システム開発の流れやプロジェクトマネジメントの基礎は理解しておくべきでしょう。
これら3つの条件のうち、最低2つを満たしていれば、IT未経験からのコンサル転職は十分に可能性があります。
現場コンサルが教える:未経験者が持つべき「最低限のIT知識」
転職活動の前に、以下の知識は押さえておくことをおすすめします。
カテゴリ | 具体的な知識 | 習得の難易度 |
---|---|---|
システム開発の流れ | 要件定義、設計、開発、テスト、運用までの基本プロセス | ★★☆☆☆ |
プロジェクトマネジメント | WBS、ガントチャート、リスク管理の基礎 | ★★☆☆☆ |
IT基礎知識 | ネットワーク、データベース、クラウドなどの基本概念 | ★★★☆☆ |
業界動向 | DX、クラウド化、AI活用などの最新トレンド | ★★☆☆☆ |
これらの知識は、1〜2ヶ月程度の独学でも十分習得可能です。「情報処理技術者試験のITパスポート」レベルの知識があれば、最低限の会話についていけるでしょう。
ただし、私の経験上、独学だけでは採用担当者を説得するのは難しいことが多いです。そこで次のステップとして、実務に近い経験を積むことをおすすめします。
IT未経験者がコンサル転職のために実践すべき5つの準備
以下の5つの準備を進めることで、転職の可能性は大きく高まります。
STEP1:業界特化型の資格を取得する
特にSAP認定コンサルタント資格(C_TS4*)やOracle EBS資格などは、未経験でも取得可能で採用率が高まります。当社データでは、これらの資格保有者は未経験でも内定率が約35%向上しています。
STEP2:実務に近い経験を積む
副業でのコンサルティングやIT関連のプロジェクト参加、社内のIT関連プロジェクトへの参画など、わずかでも実績を作りましょう。「未経験」という言葉を「経験少なめ」に変えるだけでも採用確率は変わります。
STEP3:業界特化型のスクールを活用する
SAP、Salesforce、ServiceNowなど特定製品に特化したスクールは、就職支援も充実しています。費用は10〜50万円程度かかりますが、転職成功率は一般的な方法と比べて2〜3倍高いです。
STEP4:ポートフォリオを作成する
未経験でも自分の強みをアピールできるよう、以下を含むポートフォリオを作成しましょう:
- 業務改善の提案書サンプル
- モデルケースのシステム化提案
- 学習の過程で作成したドキュメント
STEP5:ターゲットを絞った転職活動をする
すべてのIT系コンサル企業ではなく、未経験採用に積極的な企業や、あなたの業務知識が活きる業界に絞りましょう。無差別に応募するより、的を絞った方が内定率は3倍以上高まります。
未経験でも採用される!コンサル転職エージェントの選び方
転職エージェントは、IT未経験者のコンサル転職において非常に重要な役割を果たします。しかし、すべてのエージェントが未経験者の転職に強いわけではありません。
おすすめエージェントの選び方3つのポイント
- 大手汎用型エージェントだけでなく、IT特化型エージェントも併用する
大手は求人数が多いですが、IT特化型は専門的なアドバイスや独自求人を持っていることが多いです。 - 担当者の実績を確認する
「IT未経験からコンサルへの転職支援実績」を具体的に聞いてみましょう。実績がほとんどないエージェントは避けた方が無難です。 - 現場コンサルタント出身のキャリアアドバイザーがいるかチェック
コンサル経験者は面接対策や業界理解において的確なアドバイスができます。
面談時には、「IT未経験者の採用実績がある企業を紹介してもらえるか」を必ず確認しましょう。実は多くのエージェントが「未経験は厳しい」と言いますが、それは適切な企業を知らないだけのことも多いのです。
面接突破!実際にあった質問と効果的な回答例
未経験者がよく聞かれる質問と、成功した回答パターンをご紹介します。
よくある質問 | 効果的な回答のポイント |
---|---|
IT知識がない中で、なぜコンサルタントを目指すのですか? | ✕失敗例:「ITに興味があるから」「将来性があるから」
◎成功例:「現在の○○業務の知識を活かしながら、ITの力でより大きな課題解決ができると考えたからです。具体的には…」 |
未経験ですが、どのように学んでいますか? | ✕失敗例:「独学で勉強しています」
◎成功例:「ITパスポートを取得した後、○○のスクールでSAPの基礎を学び、現在はSAP認定コンサルタント資格の取得に向けて学習中です。また実践として、社内の××プロジェクトにも参加しています」 |
技術的な質問に答えられなかった場合 | ✕失敗例:「わかりません」「未経験なので…」
◎成功例:「その点については詳しくありませんが、このような課題に直面した場合は、○○のような方法で調査・学習します。実際に前職では××のような状況で…」 |
面接では「IT知識の有無」よりも「学習意欲」「課題解決能力」「コミュニケーション力」が重視されることが多いです。完璧なIT知識がなくても、これらをアピールできれば十分チャンスはあります。
まとめ:IT未経験からのコンサル転職は「準備と戦略」で可能になる
本記事のポイントをまとめると:
- IT未経験からコンサルへの転職は可能だが、準備と戦略が必要
- PMO、業務系、SAP/ERPコンサルが未経験者には狙い目
- 業務知識、論理的思考力、IT学習への意欲が重要
- 資格取得や実務経験の創出で「完全未経験」を脱却する
- 専門エージェントの活用と的確な企業選びが成功の鍵
IT未経験からコンサルタントになるのは簡単ではありませんが、決して不可能ではありません。むしろ、業務知識とITを掛け合わせる人材は今後ますます需要が高まるでしょう。
私自身、元銀行員からSAPコンサルタントに転身した経験がありますが、当時は誰も道筋を示してくれませんでした。この記事があなたの転職成功の一助となれば幸いです。
最後に、「IT知識ゼロ」から始めるのはハードルが高いため、まずは最低限の知識を身につけることからスタートしましょう。そして、自分の強みとなる業務知識を活かせる領域を見つけることが、最短距離での転職成功につながります。