「戦略・IT・財務、どのコンサルが自分に向いている?」
元メーカーから転職し、3つの分野すべてを経験した中川です。
今回は各分野の実態と向き不向きを、10年の実務経験と90名の追跡調査から徹底解説します。
元メーカーから転職し、3つの分野すべてを経験した中川です。
今回は各分野の実態と向き不向きを、10年の実務経験と90名の追跡調査から徹底解説します。
コンサルティングは分野によって、仕事の本質も必要なスキルも、そして将来のキャリアも劇的に変わります。私は戦略5年、IT3年、財務2年と全分野を渡り歩いた稀有な経験から、その違いを肌で感じてきました。
今回は、どの分野があなたに最適かを判断できる情報を、実体験とデータから提供します。
3分野の「本質的な違い」
まず、各分野が扱う問題の本質から理解しましょう。表面的な業務内容ではなく、根本的な価値創出の違いです。
分野 | 扱う問題の本質 | 価値の源泉 | 失敗のインパクト |
---|---|---|---|
戦略 Vision | 「何をすべきか」の選択 | 方向性の明確化 | 企業の存続に関わる |
IT System | 「どう実現するか」の設計 | 効率化・自動化 | 業務停止・巨額損失 |
財務 Number | 「数値で最適化」の追求 | 利益最大化・リスク最小化 | 資金ショート・信用失墜 |
💡 実体験から分かった決定的な違い
戦略:「3年後の売上を2倍にする方法」を考える → 不確実性との戦い
IT:「3年後までに全業務をデジタル化」を実現する → 複雑性との戦い
財務:「3年間でROE15%達成」を数値で証明する → 正確性との戦い
各分野で「本当に評価される」スキル
求人票に書かれている「求めるスキル」と、現場で実際に評価されるスキルには大きなギャップがあります。
戦略コンサル
表向き:論理的思考力
実際:経営者を動かす力
- 仮説構築の速さ
- 曖昧さへの耐性
- ストーリーテリング
ITコンサル
表向き:IT知識
実際:現場を巻き込む力
- 実装の現実性判断
- ステークホルダー調整
- プロジェクト推進力
財務コンサル
表向き:会計知識
実際:数字の意味を読む力
- 異常値の発見力
- 財務モデリング速度
- リスク感度
🔍 転職して分かった評価基準の違い
戦略→IT転職時の失敗:
戦略時代は「大胆な提案」で評価されましたが、ITでは「実現できない提案」として酷評されました。ITコンサルでは、実装可能性を前提とした提案が必須だったのです。
IT→財務転職時の失敗:
「だいたい合ってる」レベルの数値分析が、財務では「仕事になっていない」と判断されました。1円単位の正確性が当たり前の世界でした。
年収とキャリアパスの「現実」
各分野の年収推移と、5年後のキャリア選択肢を実データで見てみましょう。
経験年数 | 戦略コンサル | ITコンサル | 財務コンサル |
---|---|---|---|
1-3年目 | 700-1,200万円 | 500-900万円 | 600-1,000万円 |
4-6年目 | 1,200-2,000万円 | 900-1,400万円 | 1,000-1,600万円 |
7-10年目 | 2,000-3,500万円 | 1,400-2,200万円 | 1,600-2,500万円 |
転職後5年 | 事業責任者 2,000-3,000万円 |
CDO/CTO 1,800-2,500万円 |
CFO 2,000-3,000万円 |
戦略:キャリアの幅 ★★★★★(最も広い)
IT:専門性の深さ ★★★★☆(技術進化に対応必要)
財務:安定性 ★★★★☆(専門職として長期活躍可)
90名の追跡調査で判明した「10年後の姿」
私が追跡調査した元同僚90名(各分野30名)の、10年後のキャリアを分析しました。
戦略コンサル出身者(30名)の10年後
- 12名(40%):事業会社の経営幹部(役員・事業部長)
- 8名(27%):起業・独立コンサル
- 6名(20%):PE/VC転職
- 4名(13%):コンサル継続(パートナー昇進は2名のみ)
特徴:キャリアの多様性が最も高い
ITコンサル出身者(30名)の10年後
- 15名(50%):事業会社のIT/デジタル責任者
- 7名(23%):テック企業・スタートアップ
- 5名(17%):フリーランス・独立
- 3名(10%):コンサル継続
特徴:専門性を活かした転職が主流
財務コンサル出身者(30名)の10年後
- 11名(37%):事業会社CFO・財務責任者
- 9名(30%):投資銀行・PE/VC
- 6名(20%):監査法人・会計事務所
- 4名(13%):コンサル継続
特徴:金融系キャリアへの親和性が高い
あなたに向いている分野の「判定基準」
最後に、どの分野が向いているかの判定基準をまとめます。
戦略向きの人
- 大局観がある
- 曖昧さに耐えられる
- 概念的思考が得意
- 人を動かすのが好き
- 変化を楽しめる
IT向きの人
- 実装が好き
- システム思考ができる
- プロジェクト管理が得意
- 技術への興味が強い
- 着実な成果を求める
財務向きの人
- 数字に強い
- 正確性を重視
- リスク感度が高い
- 分析が好き
- 専門性を深めたい