元メーカーから転職し、両方の世界を経験してきた中川です。
今回はIT×戦略コンサルという新たなキャリアの実態を、年収データと実務経験を交えて徹底解説します。
コンサル業界は今、大きな転換期を迎えています。戦略とITの境界線が曖昧になり、両方の知見を持つ「ハイブリッド型」人材の価値が急騰しているんです。
私自身、最初は純粋な戦略コンサルとしてキャリアをスタートしましたが、クライアントのDX案件が増えるにつれ、ITの知見なしには価値提供できないと痛感。必死でテクノロジーを学び、今ではIT×戦略の両輪で年収1,800万円を実現しています。
コンサルファームの「本当の勢力図」
まず、コンサル業界の全体像を正確に理解しましょう。表向きの分類と、実際の勢力図には大きなギャップがあります。
カテゴリー | 代表企業 | 実際の強み | 年収レンジ(5年目) |
---|---|---|---|
戦略系 | MBB(McKinsey、BCG、Bain) | 経営層への影響力、ブランド力 | 1,400-1,800万円 |
IT×戦略系 HOT | Accenture Strategy、PwC Digital | DX全体設計、実装まで一貫支援 | 1,200-1,600万円 |
総合系 | Big4(Deloitte、EY、KPMG、PwC) | 業界知見、大規模PMO | 1,000-1,400万円 |
IT系 | NRI、NTTデータ、IBM | システム構築力、技術力 | 900-1,200万円 |
独立系 | ベイカレント、シグマクシス | 機動力、コスト競争力 | 1,000-1,300万円 |
💡 業界の真実
2025年現在、純粋な戦略コンサルは絶滅危惧種です。MBBですら、デジタル部門を急拡大。McKinseyはQuantumBlackを買収し、BCGはBCG Xを立ち上げました。
一方、従来のITコンサルも「システム屋」から脱却を図っています。つまり、全員がIT×戦略の領域を狙っているのが現状です。
IT×戦略コンサルの「リアルな仕事内容」
では、IT×戦略コンサルは実際に何をしているのか? 私が直近で担当した3つのプロジェクトを例に説明します。
期間:6ヶ月 / チーム:8名 / 予算:1.5億円
- Phase 1(2ヶ月):顧客購買データ分析と戦略立案
- Phase 2(2ヶ月):システムアーキテクチャ設計
- Phase 3(2ヶ月):PoC開発と効果測定
成果:ECと店舗の相互送客で売上15%増を実現
期間:9ヶ月 / チーム:12名 / 予算:2.3億円
- ビジネス要件定義とROI試算
- 機械学習モデルの設計・開発
- 規制対応とガバナンス体制構築
- 現場導入とチェンジマネジメント
成果:審査時間70%短縮、デフォルト率20%改善
これらのプロジェクトで共通するのは、戦略立案だけでなく、技術的な実装まで深く関与している点です。クライアントも「絵に描いた餅」では満足せず、具体的な成果を求めています。
年収の「本当の決定要因」
コンサルの年収について、多くの人が誤解しています。実は、会社のブランドより「何ができるか」の方が重要になってきています。
経験年数 | 純戦略コンサル | 純ITコンサル | IT×戦略コンサル |
---|---|---|---|
1-3年目 | 600-900万円 | 500-700万円 | 550-800万円 |
4-6年目 | 1,000-1,400万円 | 800-1,100万円 | 1,100-1,500万円 |
7-10年目 | 1,400-1,800万円 | 1,000-1,400万円 | 1,400-2,000万円 |
10年以上 | 1,800万円〜 | 1,300万円〜 | 1,800万円〜 |
⚠️ 年収の落とし穴
「戦略ファームは年収が高い」は過去の話。実際、MBB出身でも技術理解がない人材は市場価値が下落しています。逆に、中堅ファーム出身でもAI×金融のような専門性があれば、年収2,000万円超えも珍しくありません。
必要スキルの「優先順位」
IT×戦略コンサルに必要なスキルは多岐にわたりますが、すべてを完璧にする必要はありません。重要なのは優先順位です。
必須スキル(これがないと厳しい)
- 構造化思考(MECE、ロジックツリー)
- 基本的なIT理解(クラウド、API、DB)
- プレゼンテーション力
- Excel/PowerPointの高速作成
- 英語(読み書きレベル)
差別化スキル(あると年収UP)
- 特定業界の深い知見
- AI/機械学習の実装経験
- アーキテクチャ設計力
- プロダクトマネジメント経験
- 経営層との対話経験
🔍 実例:スキルの掛け算で年収が決まる
同期のAさんとBさんの比較:
- Aさん:MBB出身、MBA保有、英語堪能 → 年収1,400万円
- Bさん:中堅ファーム出身、AWS認定、製造業特化 → 年収1,600万円
Bさんの方が年収が高い理由は、「製造業×クラウド」という希少な組み合わせを持っているから。市場価値は「希少性」で決まります。
キャリア戦略の「3つのパターン」
IT×戦略コンサルを目指す場合、大きく3つのルートがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分に合った戦略を選びましょう。
A戦略→IT習得パターン
戦略コンサルで基礎を固めてから、ITスキルを追加する王道ルート。
- メリット:思考力と構造化能力が身につく
- デメリット:技術習得に時間がかかる
- 向いている人:ビジネス志向が強い人
BIT→戦略習得パターン
エンジニアやIT企業から、ビジネススキルを追加していくルート。
- メリット:技術の強みを活かせる
- デメリット:ビジネス言語の習得が必要
- 向いている人:技術バックグラウンドがある人
C最初からハイブリッドパターン
総合ファームやアクセンチュアなど、最初から両方を学べる環境を選ぶ。
- メリット:効率的にスキル習得可能
- デメリット:広く浅くなるリスク
- 向いている人:バランス型を目指す人
将来性と「出口戦略」
IT×戦略コンサルのキャリアは、出口の選択肢が豊富なのが最大の魅力です。
転職先 | ポジション例 | 年収目安 | 求められる要素 |
---|---|---|---|
事業会社(大企業) | CDO、CIO、DX推進室長 | 1,500-2,500万円 | 実行力、社内調整力 |
スタートアップ | COO、VP of Product | 1,000-1,500万円+SO | スピード、柔軟性 |
VC/PE | 投資担当、DD担当 | 1,200-2,000万円 | 評価能力、ネットワーク |
独立/起業 | フリーコンサル、起業家 | 0-数億円 | 営業力、専門性 |
✅ 今がチャンスの理由
- DX需要は今後10年は確実に続く
- 生成AI活用はまだ黎明期(先行者利益あり)
- 日本企業のIT投資はGDP比でまだ低い
- 人材供給が需要に追いついていない